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最適なチニングロッドの選び方とチニングロッドの特性について

向田
ん?チヌ専用の竿があるの?
チヌ吉
そう、メーカーごとにいろいろあるんだ!
向田
うーん、多すぎない?どれを選べば良いがわからん。
チヌ吉
チニング専用ロッドにも色々あるからね。どうやって自分に合った一本を見つけるか、考えてみようか。
記事の内容

そもそも何故チニング専用ロッドが必要なのか?他のロッドと何が異なるのか?など、竿選びに必要なことを紹介しています。チヌ固有の特性を知りながら、面白くエキサイトする釣りを楽しむために参考にして下さい。

チニングロッドの選び方

チヌの特性に合わせたロッドとは?

チヌは大型魚のため、まずロッドには一定のパワーが必要となります。
年無しチヌと言われる最大クラスでは体長60センチ、体重3キロを優に超えてきます(記録では、体長70センチ、体重5キロの個体が確認されています)。アベレージサイズでも体長40センチ、体重1キロ前後はあり、陸っぱりで狙える魚としては最大クラスです。

また、多種多様なエサを食べることでも有名で、スイカやコーンといった海にはないものでも釣れます。ただ、ルアーで狙う上ではその時その場所で、チヌが常食しているエサに合わせたチョイスが一番有効です。その点では、魚はみんな大好きなエビやカニといった甲殻類や、栄養効率の高い小魚などが常食のエサとして挙げられます。

それらを演出するルアーの操作としては、甲殻類のアクションを模した底ズル引きや、水面に追い詰められて逃げまどう小魚のアクションであるトップゲームなどとなります。

つまり、繊細なルアーアクションと地形変化を感じやすい先調子かつ、大物に耐えうるパワーが要件となります。

なお、ルアーの飛距離については比較的浅瀬や岸壁がポイントとなることから30メートル前後あれば問題ないですが、川幅の大きい大河川など遠投が必要なケースではロッドはより長いものが有利となります。

チヌの生態まとめ(釣り人向け)

ブランクの特性

ブランクとは竿の芯になる部分のことで、カーボン素材とグラス素材に分かれます。多くのルアーロッドはカーボン素材でできており、グラス素材に比較してより軽く弾力に優れた特性があります。

チニングでは、竿の胴部分にしっかり重さをのせることができ、かつ穂先で細やかなアタリや地形変化を感じることが容易な先調子のロッドがスタンダードモデルになります。比較すれば、シーバスロッドではやや硬く、バスロッドでは同調子がやや強いと思います。

一方で、あえてパワーの少ないロッドで釣ってみるのも面白いです。魚の引きが相対的に大きく感じられ、ファイトが長引くため、小さめの魚でもやりとりを楽しく感じられるかもしれません。

また、カーボン素材にも高弾力と低弾力のものがあり、高弾力のものは感度が良く、反発力が強くなります。一方、低弾力のものはよく曲がって粘りがあります。

ちなみにチヌは、アタリが繊細なため竿に高い感度が求められます。これは、チヌのエサの食べ方に特徴があるためで、エビやカニをいきなり丸呑みにする食べ方はあまりしません。硬い口先と歯で小突くようにエサを攻撃し、十分弱らせてから口に入れることが多いようです。つまり、食べるまでエサを良く観察しているため、エサを口に入れるまで警戒感与えないことが大切です。

それにはバランスが大切で、穂先が硬すぎるとチヌに感づかれやすくなり、柔らかすぎるとフッキングが弱くなります。チヌの硬い上顎を貫通することが難しくなります。

ロッドティップでアタリとボトムの変化を感じ取る。

チヌのアタリは大胆に引き込むこともありますが、慎重な食いつきが小さなアタリとして出ることも多くあります(チヌの筏釣りでは、辺りが繊細過ぎて目を鍛えないとさっぱりわかりません)。つまり、繊細な穂先で感じとる必要が出てきます。

また、甲殻類を模したルアーアクションの場合、ボトムをトレースすることになるため地形変化を鋭敏に察知できることが必要となります。これにも、繊細なティップをもつロッドが有効です。

ボトムをルアーでトレースする際、チヌの捕食チャンスを演出したり、そのタイミングを感じとることでヒット率が高まります。捕食チャンスとは、ボトムの岩や枝などの障害物にルアーが接触し、引っ掛かりが取れた瞬間のイレギュラーな動きや、あえてルアーをステイさせて流れにゆらめかせたり、カケ上がりなどの地形の変化に入ったり出たりした瞬間です。

ちなみにティップ=穂先についてですが、ロッドの先端約20%程度の部分を指します。ここがキャスティング性能や遠投性に関わってくるほか、アタリに対する感度やルアーの操作性に直結します。また、ロッドの中間部分はベリーと呼び、魚とのやり取りに関わってきます。ロッドの根本はバットと呼び、太く強いロッドは魚の引きに負けないためには必要ですが、時にはややバットパワーの弱いロッドを使ってファイトを楽しむのも一興です。

ちなみに、ロッドの長さは7フィート(2.13メートル)が標準的で万能ですが、飛距離を求める場合は多少の感度は犠牲にして8フィート以上のロッドも選択肢になります。ロングロッドは、長い分バッドが太くなるためにパワーがあり、長さによってキャスト速度が増すほか、対応できるルアーの重くなることから、より遠くにルアーを到達させることができます。

スピニングロッド?それともベイトロッド?

同じロッドとリールと言えど、スピニングタックルとベイトタックルは全く異なる性能と釣り味になります。個人的には、ベイトタックルの投げ、引き心地が実に滑らかで良いなと思っているほか、特に狙った場所にルアーを着水させるアキュラシー性能が目立った特徴と思っています。一方で、ベイトリール特有のトラブルであるバッククラッシュを完全に防ぐには多くの練習が必要になります。距離を重視するならスピニングタックル、精度を重視するならベイトタックルといった印象です。

遠投性はスピニングタックルが勝る。

スピニングリールはベールをオープンにしてキャストする際、ラインがフリーになることからリール自体の抵抗はほとんどありません。一方で、ベイトリールはフィネスモデル(極軽量のルアーキャストに対応したもの)が出現したことで比較的軽量なルアーでも飛距離を出せますが、どうしてもスプールの軸回転に伴う摩擦がラインリリースに付き纏います。

まず、ポイントまで届かないと話にならないといった場合、どうしてもスピニングリールに軍配が上がります。

アキュラシーはベイトタックル。

とはいえ、ベイトタックルの魅力は多く、シーンごとに使い分けたいものです。

遠投性においては、スプール自体の回転が抵抗になるものの、逆に巻き取り性能はベイトタックルが勝ります。ラインが直接回転軸に乗っているため、リールハンドルの回転がダイレクトに伝わって強力に魚を引き寄せます。

また、着水と同時にラインリリースをストップさせて着水音を抑えたり、飛距離を短くする方向には細やかに調整することが可能です。イメージしたルアートレースのラインを正確になぞるためには、正確な位置に着水させることが必要なことから、比較的飛距離が短い中で、複雑なストラクチャーが存在するポイントでは威力を発揮します。

ソリッドトップ?それともチューブラー?

ソリッドトップは、グラスファイバー素材を用いたもので、重さとしなやかさがあります。一方、チューブラートップは、カーボン素材を先端まで使ったものであり、軽さと反発力が特性になります。

ソリッドトップとチューブラーのメリットとデメリット

ソリッドトップについて

  1. メリット
    ショートバイトを弾くことなくルアーを吸い込ませることができます。豪快に丸呑みにしようとしてルアーにバイトがあればチューブラーで全く問題ないのですが、チヌが様子を様子を探って触るようなバイトをしてきた場合はソリッドのしなやかさが違和感を与えず、かつルアーを吸い込ませるような働きをします。
  2. デメリット
    先端が空洞ではなく詰まってくるので重さがあるほか、復元力が弱い特性があります。そのことから、近年ではカーボンを巻きつけてデメリットを補うようなものもリリースされています。

    ソリッドトップのロッドはブラックバスやシーバスロッド、エギングロッドで品揃えが豊富になりつつあります。

チューブラートップについて

  1. メリット
    素材が軽く、反発力があるのでボトムトレースでは地形変化を把握しやすいです。芯棒にカーボンを巻きつけて加熱整形し、芯棒を抜き取って作ることから中が空洞になっています。また、ねじれに強いといったメリットもあります。ソリッドではロッドがねじれてガイドが横を向いてしまうといったことがありますが、カーボン素材のチューブラーではねじれは起きにくい特徴があります。
  2. デメリット
    曲げ続けると潰れ折れするためソリッドほど曲がりにくいです。しかし、高弾性素材というものが登場し、非常に曲げに強いものも出てきています。良く言われるものでは、弾く力が強いため、魚が触るような軽いアタリではルアーを弾いてしまうといったことがあります。

つまり!?

結局はお好みで、、となりますが、比較的軽いルアーやワームを使ってじっくり探るならソリッドトップが適しているとみられ、やや重いルアーで遠投したり、ダートアクションでリアクションバイトをとるような釣りではチューブラートップが良いようです。ホームフィールドのシチュエーションに合ったロッドを選んでみて下さい。

チニングロッドの流用はできる?

チニングロッドは、標準的なルアーロッドに近く非常に幅広い魚を対象にすることができます。

最大の理由は、ファーストテーパー(先調子)であるために取り回しが容易で、ブランクにパワーがあるので比較的大きな魚も対象にできることです。

 特に、チヌの繊細なあたりを取るために竿先が柔らかくかつ敏感に出来ており、メバルやカサゴなどの根魚を狙うのに適しています。また、エギングロッドやシーバスロッド、バスロッドをチニングに流用することが多いのですが、竿の特性が似ていることから逆も良い結果となります。

 対応するルアーウエイトは3〜15g程度であり、身近に釣りをするフィールドに適した重量に対応しています。

また、ラインはPEで0.6〜1.5号程度に対応し、これも極端にライトな釣りや大物狙いでない限り問題なく対応するレンジとなります。

シンプルに、ロッドのスペックや性能を活かしてどんな釣りができるのか?と考えてみると選択肢が広がりそうです。

オススメチニングロッド

個人的な偏見たっぷりに2本だけ紹介させて下さい。

スピニングロッド

品名 : Salty Style KURODAI STKS-832ML-KR
希望小売価格 : 16,500円


メーカー : アブガルシア
全長 : 252cm
継数 : 2本
仕舞寸法 : 130cm
標準自重 : 123g


ルアーウエイト : 3~21g
ライン : PE0.6~1.5号

アブガルシアがリリースしているチヌ専用ロッドで、ショートレングスとロングレングスの2本がラインナップされています。こちらはロングレングスとなっており、扱えるルアーが21gまでのため、大抵のチニングルアーは使用可能です。もちろん先調子で地形感知能力が高く、細やかなルアーアクションを入れやすいチューニングです。何より、飛びます。シーバスも狙える飛距離が出るため、大河川の河口やサーフなど広範囲に探る必要がある際には活躍が期待できます。

また、比較的低価格で入手しやすいにもかかわらず、釣り味が良くてデザインが美しいためとても気に入って使っています。

ショートレングスの方は、対応ルアーウエイトが14gまでですがしなりが素晴らしく、より繊細な釣りができます。防波堤の落とし込みなど飛距離の必要ないシーンでは感度を優先してこちらが良いかもしれません。

ベイトロッド

品名 : FXB-TS67UL Tres SABIA11(サビア)
希望小売価格 : 49,800円


メーカー : INX.label
全長 : 200cm
継数 : 3本
仕舞寸法 : 77.5cm
標準自重 : 104g


ルアーウエイト : 3~12g
ライン : PE0.4~1.0号

個人的にリスペクトしているライトゲームの先駆者LEON(加来 匠)さんが興したメーカーでリリースしているロッドです。開発背景に非常に深い理論と哲学があり、5〜8gのプラグを扱うことを主軸にチューニングされています。ティップは高弾性カーボンのため驚異的に曲がり、かつバットは40センチ程度のチヌとやり取りするのにちょうど良いパワーを備えています。このロッドはチニング専用ではなく、プラグを使ったライトゲーム全般に対応するモデルになります。リールにシマノの「カルカッタ コンクエスト」を合わせて使っていますが、ただキャストしてリーリングするだけで気持ちいいです。最高の操作感を得られます。

価格は、、、高いです。すみません、私は中古で入手しました。

魚をかけてからは、溜めておけばロッドが勝手に魚を手元に引き寄せてくれます。3ピースロッドですが、全体バランスが絶妙に調整されており、繊細かつパワフルという意味で1ピースロッドでは表現しきれないロッド性能に到達しています。

メーカーの紹介ページリンク

まとめ

チヌは大型魚にもかかわらず、繊細なロッドの感度と操作性が必要となる面白いターゲットです。また、チニング人気に伴って年々ロッドの進化が見られるため、道具を選んだり保有する楽しみがあります。

良い道具ほど使いやすく、チヌをかけるために適した機能があることは間違いありません。

一方で、あえて道具のスペックを落として釣るという面白さもあります。昔の話ですが、特に繊細な竿を必要とするヘラブナ釣りで、友人があえて山に生えている竹を切っただけの竿で釣っていました。しかも、ウキは割り箸という凄まじさです。結果、高級竿を振るうベテランへら師を差し置いて、一人で爆釣。うーん、カッコいい!って思わされたことがあります。

釣りは漁にあらず。良く聞く言葉ですが、自分なりの釣りのスタイル、哲学を突き詰めた最高の一本を、是非探してみて下さい!