チニングは釣り方の研究が進んで年中いつでも釣れることが確認されています。
しかし、ずっとチヌを狙ってばかりもいられないものです。仕事もあれば、家族サービスもあるのですから。
でも、チヌを釣りたい!釣りを通して自然に触れる時間を持ちたい!
そんなときに、どうすれば隙間の短時間でちゃんとチヌを釣ることができるのか。ただ、無闇に釣りに行ってモヤモヤした時間を過ごさずに済むのか。
そのための1つの方法として朝マズメのチニングについて紹介していきます。
目次
朝マズメのチヌは釣れる!
そもそも、どんな魚でも基本的に朝マズメはよく釣れます。もちろん経験則から来る事実ではありますが、ちゃんとした理由もわかっています。
理由は単純で、エサを食べやすい時間だから。
これには食物連鎖が関係しており、
- 夜が明けて水面が明るくなりだすと、植物プランクトンが光合成のために水面に集まる。
- そのプランクトンをエサにする動物性プランクトンがつられて水面に集まる。
- 小魚などいろんな生き物が動物性プランクトンを食べるために集まる。
- 小魚を狙っている大型の魚も当然集まる。
といった流れがあり、日周鉛直運動と呼ばれます。海洋・湖沼などの水圏環境の生物が一日のなかで規則的に生息深度を移動させる現象のことで、光合成生物に限らず,遊泳力をもつ多くの生物が行っている生活リズムです。
つまり、食物連鎖のスタートになるプランクトンが沢山いるところが特に好ポイントとなります。朝マズメにはエサが取りやすいということが進化の過程で本能に刷り込まれているのかもしれません。
チヌの活性が上がる理由
チヌが行動する動機は安全確保や子孫を残すといった理由が挙げられますが、何よりもエサを食べるためです。そして、より効率よくエサを食べようとします。
この「効率の良さ」が実に重要で、そのチヌが必要としているカロリーをなるべく少ない摂食で済ませることができると、以下のようなメリットが生まれます。
- エサをとっている時はチヌも無防備なことが多くリスクが高いため、
→エサを短時間で済ませられると、安全な場所に隠れる時間が増える。 - 効率のより良いエサを沢山取れれれば他の個体よりも早く大きくなれるため、
→体が大きいとより良いエサ場を独占したり、奪い取ったりできる。 - エサを効率良く取ることで体を大きくできれば、
→より沢山の子孫を残せる。
上記の理由から、チヌは必死に効率良くエサを食べようとします。
朝マズメは、その効率の良いエサを食べることが可能となる貴重な時間なのです。
朝だからこそ狙うポイント
では、一体どんなエサを食べることができるから、チヌは朝マズメに活性が上がるのでしょうか?
チヌが食べたいエサがいるところが、朝マズメに狙うべきポイントとなってきます。
チヌが狙っているエサごとのポイント
- 小魚
カタクチイワシやウルメイワシ、アジ、ボラ、ヒイラギなどの幼魚は動物性プランクトンを食べるために回遊しています。基本的に群れで行動しており、回遊がみられたらポイントとなります。逆に回遊してきていないなら、小魚をベイトとした釣り方は効果が薄くなります。
→小魚が回遊可能な河口や漁港、堤防で、かつ潮目や風の流れでプランクトンが密集しているところを探す。 - 甲殻類
基本的にエビとカニですが、どちらもほとんどの種が夜行性です。夕マズメの暗くなる頃から朝マズメの明るくなるあたりまでが活発に活動している時間になります。そのため、朝マズメはまだ彼らの元気な時間に重なっているのです。ちなみに、夜間は住処から出て浅瀬を動きまわっており、昼間は岩陰や砂の中などに隠れてしまって、じっとしています。
→河口でも砂浜でも岸壁でも、もともと甲殻類がいる場所でより浅瀬やオープンエリアを探します。
基本的にいつものポイントで良いのですが、ベイトの動きが日中と異なるため、それを考慮してちょっと違った視点(こんなところで釣れるの??)でもキャストしてみましょう。
季節による変化
四季の変化に応じてチヌの行動も変化します。
また、地域によっても水温という重要な要素が異なるため、同じ季節でも違いが出てきます。
基本的には、夏が一番釣りやすいと言えます。それは、水温の上昇によってチヌの活性のみならずエビやカニなどのベイトの活性も上がるためです。
ただ、チヌはオールシーズン狙えるため、季節ごとのチヌの様子を考慮していけば冬でも十分釣ることが可能です。
朝マズメのチニング戦略(朝活)
コンセプトは、1日が始まる前にチヌ1尾に出会うことです。無理に沢山釣ろうとせず、しっかり頭で考えた戦略で短時間の釣りに臨み、実釣と検証を繰り返して理解を深めていきましょう。
手軽に、短時間で、しっかりと釣るためのチニング戦略について考察していきます。
事前準備と情報収集
短時間で狙うため、準備次第で結果が大きく変わります。
また、的確な戦略を立てるためには良い情報が求められます。釣りは情報戦でもあるのです。
- 場所の選定
実績の豊富なポイントが良いですが、チヌがいる条件を満たした未開拓ポイントを探すことも大切です。特に、ポイントまでの移動時間をかけられないなら、近場の河川や海で狙えるポイントがないか探してみましょう。朝マズメは浅瀬が有望になりやすいので、チャンスエリアは広がるはずです。
- タイミングの選定
日の出時間と潮汐についてはネットですぐに検索できます。このほか、週間の天気予報で気温が高い日や前日の雨で濁りが入った日、海水温の変動もチェックしていきます。また、アジやイワシの回遊についても、釣果情報をチェックして参考にします。
- 地元のチヌ釣果の情報収集
釣具屋やネット、釣り雑誌などで釣れ具合を確認します。これらの情報はあくまで過去情報のため、その日その条件で釣れたなら、今週はいつが有望かな?っと推理していきます。
- ベイトの情報収集
アジやイワシなどはサビキ釣りの釣果情報から回遊状況を確認します。特に水温との関係を記録しておくと今後役に立ちます。また、甲殻類についても地域で生息状況が異なるため、いつものフィールドにどんなカニやエビがいるのか知っておくと判断材料が増えます。ベイトを知ることが釣果に直結します。
- 気象、海水温の情報収集
魚は人間より遥かに水温変化に敏感で、0.03度の差を感知しています。今日のこの時間は何度か、事前に予想するほか、現地でも水温計で測れればベストです。
三つの戦略
想定される状況を3つ挙げて、それに即した戦略を立てましょう。
実際に実行して戦略が外れていれば、それに固執しないで新たな手に切り替えていきます。見切りを的確に行えれば、無駄にプレッシャーを与えたりスレるリスクを最小限に止めることになります。
1、トップゲーム
小魚の群がみつかればホッパーを投げてみましょう!回遊ルートをイメージして、チヌがどこから狙っているのか、どこから飛び出してきそうか予想して通します。ホッパーによる飛沫は小魚が水面に追われて捕食されている様子を演出しています。ホッパーによる釣りは勝負が早いため、一箇所で粘らず、短時間で反応がなければ戦略を変えます。
2、底のズル引き
底質が砂や礫程度であれば、活発にエサを探し回るエビやカニをイメージして底をズリズリ引きづります。チヌの意識が下に向いていれば反応が出てきます。常に歩き回って広く探っていきます。ルアーを止めて待つアクションも有効です。
3、リアクションバイト
しゃくり上げとテンションフォールの繰り返しで、素早く手広く探っていきます。イメージは、エビが後ろ跳びで逃げ惑っている様子です。しゃくり上げでチヌの意識を引きつけ、テンションフォールで食わせます。着底したらすぐにしゃくり上げてを繰り返します。
釣りの引き上げどき
楽しい釣りの時間はあっという間に過ぎていきます。そして出勤の時間が迫ってくるため、釣りを引き上げる時間はしっかり事前に決めましょう。
できれば1時間半ほど釣る時間を確保したいので、日の出が早い夏は日の出後を長めに、春や秋は日の出前を長めに、など試してみます。
ベイトの習性を考えると、小魚は日の出後すぐが良く、エビは日の出前が良いはずです。
朝マズメにこそ使いたいチニングルアー
ブリーデン「ミニマル」
ウレタンの高浮力ボディーで、前方アウトシンカーによって水底でゆらゆらと起立姿勢をとります。底のズル引きではアナジャコが這う様子を演出し、しゃくり上げではエビが後ろ跳びで逃げるように泳ぎます。また、ボトムステイという、単に底でルアーをストップさせるアクションですが、水流に押されてチヌを誘う揺らめきが表現されています。
とにかく実績が高いので、1本持っていても良いかと思います。
出典:BREADEN facebook
まとめ
朝マズメの短時間に狙いを定めてチヌを釣るには、しっかり事前準備を行って、想定される状況パターンごとの戦略を持って望みたいものです。
こんなに考えることが多いと逆に億劫になってしまいそうですが、本当に上手い人は徐々に知識と経験を蓄積して、考えて有効な戦略を立てれるからこそ沢山釣ります。
何か一つでも、前回の釣りよりも進化させてゲーム性の高いチニングをお楽しみ下さい。
朝マズメにチヌを狙うのは何故良いのか、その理由と具体的な釣り方についても紹介しています。